塗装工程一覧メインコンテンツ

塗装工程一覧

塗装工程一覧

塗装工程メインコンテンツ

塗料選定のコンテンツ

1 塗料選定

  1. 塗料選定
  2. 前処理工程
  3. 塗り工程
  4. 乾燥工程

塗料選定の工程について

塗料には、大きく分けて、溶剤塗料粉体塗装水系塗料の3種類の形態が存在します。
それぞれに特徴があり、製品の仕様環境、望む機能等に応じて、塗料を選定しなければいけません。

塗料の説明

溶剤塗料

溶剤塗装は、塗装の50%以上を占め、現在最も一般的な塗装方法と言えます。塗料となる樹脂を有機溶剤によって溶かし、エアガンや静電塗装機を使って品物に塗布します。
近年、環境意識の高まりから、多量に含まれる溶剤は環境への悪影響が懸念され、環境規制が強化されています。

溶剤塗料の特徴
[1] 多用途対応

溶剤塗料は、樹脂の種類が多く、樹脂の組み合わせにより、用途に応じた塗装が可能です。

[2] 短納期

溶剤塗料は塗料の調色にかかる工程が少なくて済みます。そのため、塗装が必要になってから作業への時間が短く、納期を短縮することができます。

[3] 小ロット・低コスト

溶剤塗料は、使用量に応じた量のみを作る柔軟性があり、無駄なくコストを抑えることができます。

[4] 簡単な色替え・一定品質の保持

溶剤塗料は、塗装後、シンナーを用いて塗装ガンやホースの洗浄が必要ですが、数分で洗浄が完了し、素早い色替えが可能です。
安定したラインにより、乾燥炉内で過剰焼き付けがおこることもなく、一定の品質を保つことが可能です。

粉体塗料

粉体塗料とは、有機溶剤や水などの溶媒を用いず、100%固形分の粉末状(固体)の塗料を使用します。主に静電粉体塗装法(吹き付け塗装)や流動浸漬塗装法(浸漬塗装)の2方法で、素材に塗装していきます。
塗装の環境規制の強化を受けて、環境配慮型塗装として、これからの発展が期待されています。

粉体塗料の特徴
[1] 高膜厚

粉体塗料に使用される高分子樹脂の特性により高膜厚で優れた塗膜強度、耐化学薬品性、耐食性、耐候性を保持しています。

[2] 低ランニングコスト

高い耐久性から、再塗装のリスクが少なく、結果的に他の塗装に比してランニングコストを削減することができます。

[3] 環境性能

有機溶剤を全く使用していないため、大気汚染、火災、中毒などの危険性が非常に少なくて済みます。

[4] 塗料の再利用

粉体塗料は有機溶剤を全く使用しないことで、オーバースプレーされた塗料の回収、再利用(リサイクル)が可能となるため塗料のロスが激減します。
このため、塗料にかかるコストの低減、環境への低負荷を実現しています。

水系塗料

水系塗料とは、塗料となる樹脂を溶媒する際に、有機溶剤の代わりに水を使用した塗料です。有機溶剤を使用した溶剤塗装への環境規制を受けて登場し、環境性能で優れています。

水系塗料の特徴
[1] 安全性

発火性の強い有機溶剤を使用していませんので、引火、爆発の危険がなく、取り扱いが非常に簡単だと言えます。

[2] 環境性

環境に影響の大きい有機溶剤を使用せず、水を使用しているため、環境への影響が最低限に抑えられます。また、有機溶剤独特の臭気、毒性、もありませんので、人体への影響も最低限となっています。

ページのトップへ

前処理工程のコンテンツ

2 前処理工程

  1. 塗料選定
  2. 前処理工程
  3. 塗り工程
  4. 乾燥工程

前処理工程について

塗装における前処理工程とは、塗装する素材表面の脱脂洗浄化成処理の実施により、素材と塗料の密着性を上げるための工程です。
塗装の機能を最大限に発揮させ、そして、長持ちさせるためにとても重要な工程です。

各前処理工程の説明

[1] 脱脂

素材表面に付着した油脂類を落とすために、洗浄剤を用いて洗浄処理します。
あらかじめ、不要なものを塗装面から除いておくことで、塗料の密着性を高めることが可能となります。

[2] 化成処理

金属を溶液中に浸漬し、表面に金属塩被膜を作ることを化成処理と言います。化成処理は、素材表面と塗料の密着性の向上、防錆等の素材表面の保護を目印としています。

[1]リン酸皮膜処理

塗膜が剥離することを防ぐために、表面に不溶性のリン酸の皮膜を作ります。
また、塗装表面が傷ついた際には、素材表面の腐食を防ぐ役割も果たします。
リン酸処理単体で行われる場合もあり、その場合は素材表面の腐食を防ぐことを目的に行われます。主に、鉄鋼表面に施されます。

[2]クロメート処理

塗料の密着性を高めるために、クロム酸を利用し、表面に皮膜を形成します。
クロメート処理を単体で行う場合は、素材表面の腐食を防ぐことを目的に行われます。主に、アルミ合金、亜鉛めっき表面に施されます。

[3] 洗浄

【 脱脂後の洗浄 】

素材に付着している脱脂剤(アルカリ)を洗浄します。
アルカリの完全除去を目的とするため洗浄水の汚れを考慮し2工程で処理を実施します。

【 化成処理後の洗浄 】

素材に残留している化成剤を洗浄します。
残留薬品を完全に除去するため洗浄水の汚れを考慮し通常は3工程で処理を実施します。

[4] マスキング

実際に塗装工程に入る前に、マスキングプラグ、マスキングキャップ、マスキングテープ・シールなどを用いて「塗装する箇所」と「塗装しない箇所」をしっかり区別します。
後工程の作業性を向上する意味でも重要な工程となります。

ページのトップへ

塗り工程のコンテンツ

3 塗り工程

  1. 塗料選定
  2. 前処理工程
  3. 塗り工程
  4. 乾燥工程

塗り工程について

塗り工程は文字通り、塗料を素材表面に付着させる工程です。必要に応じて、下塗り、中塗り、上塗りに分けて塗装を行います。
下塗りの役割は、素材と上塗り塗料の密着性を上げること、そして、錆等から素材を保護することです。
中塗りの役割は、塗膜の厚みを調整すること、損傷による塗膜剥離を防止することです。
上塗りの役割は、美観・意匠性を向上させること、耐候性を向上させることです。
塗装方法にはいくつかの種類があり、使用する塗料、塗装する素材の形状等に応じて、適切な塗装方法を選び、塗装を行います。

各塗り工程の説明

[1] 浸漬塗装

タンクの中に溜めた塗料の中に、素材を漬けて塗料を付着させる方法です。
表面に凹凸が有ったり複雑な形体をしたものに適しています。
しかし、漬け込み、引き上げに時間がかかる、塗料の泡が付着する、上部と下部で塗膜に厚みの差が出るなどの注意点があります。
粉体塗料を使用する場合、流動させた粉体塗料を使用し、流動浸漬塗装法と呼ばれます。

[2] 電着塗装

浸漬塗装同様、塗料に素材を漬け、電流を利用して電気的に塗膜を形成します。
自動化が可能であること、複雑な形状の内部まで塗装可能であること、塗膜厚の調整が容易であることなどが特徴です。

[3] スプレー塗装

高圧空気と共に霧状の塗料を吹き付ける方法と、空気を使用せず塗料そのものに圧力をかけて吹き付ける方法があります。

[4] 静電塗装

静電塗装の仕組み図

高電圧を利用した塗装方法です。霧状の塗料に負極、素材に正極を帯電させ、電気的に塗料を付着させる方法です。
塗料の無駄が少ない点、突出部、エッジの塗装の容易さが利点です。

[5] ロールコーター

ロールコーターの仕組み図

大型のゴムロールに塗料をつけ、これを塗装素材に塗布して厚みの一定な塗膜をつくる方法です。
粘土の高い塗料の取り扱いが可能なことや、塗布量の調整の容易さが利点です。

[6] フローコーター

フローコーターの仕組み図

塗料を0.2~1.2㎜のスリット状の隙間よりカーテン状に落下させ、その下を直行するコンベア上に平面状の塗装素材を乗せて、塗料のカーテンの下を毎分80m/min前後のスピードでくぐらせて塗装します。
メリットとしては、塗装スピードが速く、また塗料を循環して使用するので塗料のロスがほとんど無いことが挙げられます。反面、凹凸のある形状物には塗装できないというデメリットがあります。

[7] はけ塗り

はけ

文字通り、刷毛を使用して、塗料を塗装素材に塗りつける方法です。
4000年以上の歴史を誇ります。

ページのトップへ

乾燥工程のコンテンツ

4 乾燥工程(硬化または造膜)

  1. 塗料選定
  2. 前処理工程
  3. 塗り工程
  4. 乾燥工程

塗り工程について

乾燥方法は、主に使用する塗料の性質に合わせて適切な方法を選択します。

各塗り工程の説明

[1] 自然乾燥

塗料を常温の空気中で乾燥させる方法です。

[2] 強制乾燥

自然乾燥よりも少し高い温度で塗料の乾燥を促進します。通常の焼付塗料に用いられるより低い温度、通常は80℃程度までの温度で乾燥する場合をいいます。温乾燥型塗料を使用します。

[3] 焼付乾燥

高温を利用して、塗料を乾燥させる方法です。
自然乾燥よりも高い塗膜の硬さ、密度が得られることから、耐候性、耐摩耗性の求められる製品に使用されます。

[4] 湿気乾燥

塗料が空気中の水分に反応し、硬化します。湿度が高いほど、乾燥の時間が短くなります。
加熱に弱い素材、製品の場合や、自然乾燥では充分に乾燥時間を確保できない場合に使用されます。

[5] 触媒乾燥

触媒や硬化剤を混入することで、塗料を反応させ、硬化させる方法です。
加熱に弱い素材、製品の場合、自然乾燥では充分に乾燥時間を確保できない場合に使用されます。

[6] 紫外線硬化

紫外線を照射することで塗料を反応させ、硬化させる方法です。
加熱に弱い素材、製品の場合、自然乾燥では充分に乾燥時間を確保できない場合に使用されます。

ページのトップへ